お母さんの心に届いた記事・・・一平君のこと

(以下のお話しは加工しているので、具体的な個人や団体とは一切関係がありません。)


以前この記事を書きました。
たまたま、今日伺った6年生のお宅で、お母さまに、この記事が印象深かった

と、言われて、改めて読んでみました。

ほかのお母様にも、おっしゃっていただいたことがあったので・・・・



「一平君へ・・・・惜別の辞


君と初めて会った時,


君は、まだ小学校2年生だったね。きらきらした目で


「また先生とあいたいな。」などと言っていた。


あれは、ついこないだ・だったような気がする。


もう、あれから3年もたっていたんだね。


段々、反抗期が来て、かわいげのないことを言うようになったけれど、


君は、ほんとはいい子で、僕には、それがわかっていたよ。


お母さんが厳しい人で


僕は少し、お母さんには、エキセントリックなものを感じたが、


僕にはどうしようもないので、なるたけ、君をかばっていた。


「一平君は優秀なお子さんです。」ってね。


実際、君は優秀だったしね。


君は、みるみる成績が上がって、


もちろんお母さんの、努力もあったけれど、


僕との相性がよかったのだと思っている。


きみんちは、お金持ちだから、


どうしても、スケジュールとかは、僕が譲歩することになった。


それは「お客さん?」である、きみんち、が決めること。


「仕方がないことだ。」と思っていた。


でも、僕は、僕なりに一生懸命やってきたつもりだ。


他の家でも僕は一度も手を抜いたことはないけどね。


今日も、


「今日で最後だ」
と、急に今朝メールで伝えられた。


成果が上がらなかったわけじゃないから、僕の落ち度ではないとは思った。

多分、お金がしんどかったのかな?


僕は、


「君の成績に責任は、以後ない」

とは、知っていたけれど、それでも僕は今日もいつものように、一生懸命やったよ。


今朝、急にメールで
「クビだ」
と告げられて、


どんな顔をしてきみんちのマンションのドアを開ければ、いいかわからなかったけれど、

授業が始まってしまえば、僕はいつも通り、君もいつも通り・・・・


今日で最後だと思って、僕は、随分君のことが好きなのだ、とわかったよ。


でも、そんなことを、言っても仕方がないし、


君がどう思っているかも、しれなかったから、


僕は、君との「最後の授業」でもそんなことには触れなかった。


お母さんの言い方だと、


「もう以後は、『僕がここに来ること』は一切ない。」というのはよくわかった。


そうじゃなくても、たいてい、一度断られたら、もう二度と、ないんだよ。


30年も、家庭教師をやっているのだから、僕が一番それは知っている。


これを書いているのは、


もしかして君が、僕が君に対して、やめるにあたって、


「何の感情もない。」
と、思っていると、君に思われたら、嫌だと思ったからだよ。


だからと言って、何か、もう、君に言うつもりはないけどね。


「僕の気持ちが、少しでも、君にわかってもらえたらいいな。」

と思っただけだ。

もしかしたら、僕が、僕自身に言い聞かせたかったのかな?


 


人間って不思議だね。


誰にも、聞いてもらえなくても、文章を書く。


 


多分、自分自身に。


「『君を見捨てた』、のじゃないよ。」


と言いたかったのかな?

きみんちの事情だから、僕にはどうすることもできない。


君を守ってあげたかったけど、出来なかった。

何から?


僕にも、お母さんに対しては、いろいろ言い分もあるけれど、


終わってしまったら、何を言っても始まらない。


君と一緒に過ごせた時間が、幸せだったと思うだけだ。


少し細かいことを気にし過ぎ気味の君。
僕も全く同じだ。
 僕は、そんな君に、何もできないから、君に
 くだらない変な顔したり、くだらない冗談言ったり、


君の好きな、僕の甥っ子の「せいちゃん」の話をして、


君に笑ってもらうしかなかった。


いつか、別れが来るのは仕方がないけれど、突然で本当に驚いた。


君のお母さんは、何を決めるにしても、きっと、いつもこうで


君は、合わせることしかできないのだろうけど、


僕は好きでやめたわけじゃない。


いつか、やめることになったんだろうけど、こんなに急とは思わなかった。


今日もどうしようか迷ったが、


君の授業風景を録音させてもらったよ。


思い出にね・・・・


いい具合に僕と君とのやり取りが取れてよかった。


きっと、僕は、もう君と会うことはないし、


次に会うことがあるとすれば、君は、もう、大人で、


顔も性格も違っているのかもしれない。


感傷的になっているのは僕だけで、


すっかり強い君は、もう次に進んでいる、のかもしれない。


君と3年前に会ったのはきっと運命で


前世で、何か、僕と君は、関係があったのかもしれないね。


相性がとてもよかった。


僕も、次に進んでいく。


 


「さよならだけが、人生だ。」


とは思わないけれど、


君の家を出て、駅に向かう途中、喪失感と言うにはあまりに重い気持ちが僕を包んで、僕はびっくりした。家庭教師でしかないのにね。


きっと、明日になったら、そして、また、あさってになったら、


来週になったら、お互い、みんな忘れていくのだろうね。


でも、忘れたくないから、ここに書いておく。


さようなら、僕と君島一平君の、3年間。」


 


・・・・・・・最近ウインドウズ10にしたら、

なぜか、一平君が僕のフォトのアーカイブに入っていて

PCがたちあがると、一平君の写真が、時々出てきて、

時々僕は一平君と写真で再会しています^^多分もう、今、一平君は6年生くらいかな?

写真の一平君は、4年生のまま、いたずらっぽく微笑んでいます。



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